わーぐです。おはようございわーぐ。
「読書感想文」と銘打った記事も書いていこうと思います。
今回僕が読んだ書籍は、児童精神科医である宮口幸治さんの書かれた「ケーキの切れない非行少年たち」です。
なお、この本は漫画版も発売されています。そちらも併せてぜひ。
この本は、精神疾患のある児童犯罪者を中心にとりあげた本です。
犯罪と言っても、万引き(窃盗罪)といった比較的軽いものから、殺人や強姦といった重大事件まで、なんでも取り上げています。
まず、ケーキと聞いて、「留置所に入ったらあのケーキが食べられるの?わーい!」と思ったのは僕だけではないはず。
・反省以前の子どもたち
絵を等しく三等分したケーキの絵を描いてみなさいと言われ、少年たちは悩んだ末に上記のタイトルのような分けたケーキのイラストを描いたそうです。
これを見た宮口さん(著者)は、「反省以前の問題」「いくら矯正を受けさせたところですぐに忘れる」と感じたそうです。
反省や更生には、自分の非行としっかりと向き合い、被害者の気持ちになり反省するという手順を踏みます。
しかし、彼らには難しくて答えられない、言語化できないのです。
彼らは、おおかた勉強も他人とのコミュニケーションも苦手で、その解決手段として暴力を行使しているのです。彼らが凶暴、粗暴と呼ばれる由縁なのでしょう。
その他にも、彼らはほぼ例外なしに教育環境に恵まれず、本来なら幼いうちに受けさせるべき検査を受けてこずに、家庭や学校でトラブルや事件を起こし、少年院に連れて行かれてようやく障害があることが発覚するのです。
小学校低学年の時点で勉学につまづき、九九はもちろんのこと漢字が読めなかったり、果ては字を読むことができない、そしてそこから他人に馬鹿にされ…彼らにとって学校が地獄であったことには想像にかたくないでしょう。
「勉強ができない」というよりは「勉強したところで何かを理解するという機能が欠落している」と言った方が良さそうです。
・僕は優しい人
彼らは認知機能が欠落しています。少年院に連れて行かれた当初は自分の非行としっかりと向き合い、被害者の気持ちになるなんてのは夢のまた夢です。
宮口さんが「なぜ犯罪をおかした」のかと質問しても薄ら笑いで口をぽかんと開けながら「うーん」と考え(ているふりをしながら)、最終的に「わからない」と答えるそうです。
また、他の少年に「自分はどんな人間か?」「自分の性格はどういう性格か?」と質問すると、少年は「自分は優しいです」と答え、驚愕を隠せなかったようです。なぜ優しいのかと聞かれると「友達から優しいと言われるから」「自分は他の人に優しい」と本気で思っていたようです。
宮口さんが「でも君はこういう悪いことをしたんだよ?」と返し、そこで「あー、なら僕は優しくないですね」と意見を変えるそうです。そこまで言わないと気づかないのです。
また、院に連れてこられた当初の彼らは反省することができないため裁判所で「自分ははめられた!悪くない」と癇癪をおこすこともあるそうです。
・非行少年の特徴
彼らに共通する事項として
・認知機能が弱い
見たり聞いたり想像する力が弱い
・感情統制が弱い
感情をコントロールできず、すぐに感情をむき出しにする
・融通が利かない
予想外のことでパニックになる。ASDあるある
・自己評価が不適切
上記の「僕は優しい人間」がまさにそれですね。
・対人スキルが乏しい
嫌われないために人に流されやすかったり、言語にできないため暴力に走ったり。
ASDの中でも受け身型と呼ばれる人です。記事にも書いています。
・身体的不器用
手先や体が不器用。不器用に関してはこの記事でも書いています。
・忘れられた人々
軽度の知的障害(IQ70~84)を持つ人々は、支援を受けられず、周囲に気づかれることなく「少し変わってるな」くらいにしか思われないそうです。
2014年で起きた殺人事件では、遺体のはいったビニール袋のそばに容疑者の診察券とその容疑者が吸ったであろうタバコの吸殻が発見されました。
この容疑者は、自衛隊に勤務し、多くの免許を持っていたようです。彼は軽度の知的障害を持ちながらも、事件が発覚するまでは普通に社会で生活ができていたという証左でもあります。
宮口さんは「被害者が被害者を生む」と書いていましたが、この事件もおそらくその一環なのではと思われます。
・コグトレ~障がい者向けのトレーニング~
この本には「コグトレ」と呼ばれる認知機能を改善するトレーニングを紹介し、彼らに社会性を身に着けさせようとしています。
「見る力」「聞く力」はある程度改善できるとも言っているし、実際に院から出所する少年も入所時と比べて表情が明るくなったり、積極的になったり等変化が見られたようです。
・まとめ
非常にインパクトの強いタイトルと表紙の本です。これだけ世界が歪んで見えていたら何も知らない大人はまるで理解できないだろうし、拒絶もしてしまうでしょう。
僕自身、幼い頃から診断を受けてなかったらこうなっていた未来があったかもしれないと思うと、恐怖も感じていました。
おそらくは、親御さんにこそ読んでほしい書籍です。特に、障害を持ってしまったり、学校では浮きがちな子を持つ親御さんに。
わーぐでした。当事者目線として、僕が少年院に入れられていたかもしれないという未来も起こり得たので、他人事ではありませんでした。
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